「いったいに、本書の内容のようなことは、はじまりの日を具体的記すことは難しいのだろうが、私ははっきりとその日を書くことができる。それがはじまったのは、六月二十三日のことだった」
(『うつ病九段‐プロ棋士が将棋を失くした一年間‐』先崎学 p3 文藝春秋2018年)
という始まりは私にとってとても印象的であった。
私が1度目の休職をしたとき、ちょうどこの本が発売された。
先崎氏の症状が、自分と重なるところが多く、
とても共感して読めた。
私も具合が悪くなった日のことを鮮明に覚えている。平成29年6月30日(火)10時だ。
1時間目の音楽の授業中だった。息が苦しくなり、自力で立っていられなくなった。
周りの同僚に気づかれないよう、児童の車椅子に少し寄りかかりながらなんとか立っていた。
「蒸し暑くなってきたから気持ち悪いんかな」そう思うことにした。
しかし、だめだった。意識が遠のき、
いわゆる「普通の動き」ができなくなっていた。
「今日はなんだか調子が悪い。帰って休もう」
そう思わざるを得なく、早退させてもらった。
本書の冒頭を読んで、このことを思い出した。
(続く)